JAPAN ORGANIC FARMING ASSOCIATON
2021年2月10日水曜日
2020年12月20日日曜日
営農支援システム「BLOFware.Doctor」の使い方
営農支援システム「BLOFware.Doctor」は、作物別に、その作物が高品質・多収穫・高病害虫抵抗性になるように、最適な土壌環境を提案し、その土壌環境を実現するために、①土壌分析を行い現状値を把握し、②施肥設計を行うことで、堆肥・アミノ肥料・ミネラル肥料の3つを使い、土を作物の生育にとって最適な環境に作り込みます。③高品質・多収穫・高病害虫抵抗性という目的を実現するための栽培方法の提案と栽培管理をサポートします。④作業管理記録・営農管理記録を記録できるようになっています。
ユーザーIDとパスワードを入力するとログインできます。
新規申し込みもこちらからできます。※2021年3月31日まで無料で提供しています。
目次
01:圃場登録
02:作付け年度登録
03:土壌分析データ入力
04:施肥設計の仕方
05:ミネラルの設計
06:窒素の設計
07:作業履歴の記録
08:アドバイス・サポートの受け方
09:グローイングマップによる栽培支援
【01】TOPページはこのような感じです。
①施肥設計、②肥料管理、③グローイングマップの3つの項目が選択します。
①の「施肥設計」を選択すると「圃場選択画面」に行きます。
【02】まずは、圃場登録を行います。赤色の「新規登録」をクリックします。
【03】上のような「圃場登録画面」が表示されますので、①圃場名、②所在地。③面積、④担当インストラクターを▼プルダウンから選択してください。
※ 今後の改良で右の薄緑のところには地図が表示され、地図で圃場を選ぶことで、標高、緯度、経度などが自動で選択できるようになる予定です。
【04】必要な情報を入力した後に、最後に一番下の赤い「保存」ボタンをクリックする。
【05】「圃場選択画面」に登録した圃場が表示されるので、圃場名をクリックする。
【06】「作付け年度」を登録します。画面の一番下の赤い「新規登録」ボタンをクリックします。
【07】「栽培期間名」には、年度などを入れてください。
「作物種別」の▼プルダウンより、①うるち米、②酒米、③もち米、④飼料米の4種類から、さらに「秋藁処理有り」または「秋藁処理無し」を選んでください。
「作物名」は「コシヒカリ」や「あきたこまち」などの作物名を入力してください。
【08】必要事項を記入した後、最後に「保存」のボタンをクリックする。
【09】「栽培期間一覧」から土壌分析・施肥設計を行う「圃場・期間」を選ぶ。
【010】土壌情報を入力します。土壌分析はジャパンバイオファームの推奨する体積法の土壌分析の値を入力してください。pH(水)と石灰・苦土・カリウムの4つの項目は施肥設計を行うために必修です。
※ 土壌分析の申し込みは下記URLより
【011】必要事項を入力した後に、まず赤色の「保存」のボタンをクリックした後に、「施肥設計に進む」のボタンをクリックしてください。
【012】「施肥設計画面」の表示は、①上から「肥料選択BOX」、②中央に土壌分析の値から計算式で導き出された理想的な施肥設計の値が棒グラフで表示されます。赤い線が標準の施肥量の値。赤い線よりも現状値が低い場合は、施肥することによって赤い線まで、そのミネラル栄養成分を高める必要があります。③下に窒素肥料の施肥量を決めるためのサポートツールが付いています。
【013】CECとは「陽イオン置換容量」のことで、pHと石灰、苦土、カリウムのアルカリ3成分の量から、その土壌がどれだけのミネラル成分を保持できるかを数値で示したものです。値が多きほど、土壌にたくさんのミネラルが入ることとなり、ミネラルがたくさん入っている土壌ほど、作物も良く育ちます。CEC=10の圃場では、石灰が100㎏/1反で、pHが6.5になりますが、CEC=30の圃場では、石灰が300㎏/1反で、pHが6.5になります。さらに腐植がたくさん入っている圃場では、もっと石灰がたくさん入っても、pHが上がらないという圃場もあります。根が伸びる長さは同じでも、土壌中のミネラル量が多ければ、同じ栽培期間中にそれだけたくさんのミネラルに当たることができるので、生育は良くなり、品質も向上します。
【014】施肥設計は「石灰」から行います。上のBOXから「ミネラル肥料」を選びます。
【015】登録されているミネラルから「ハーモニーシェル」を選びます。水平バーを動かすか、数値を入力します。入力後、どこか関係のないところをクリックすると、下の棒グラフに反映されます。pHの値も連動して動きます。石灰の棒グラフの値が赤のラインのところか、これを少し超えるところまで施肥をしたら、この圃場における稲を栽培するための石灰の量は十分となります。
【016】登録されているミネラルから水酸化マグネシウムが主成分の「古代天然苦土」を選びます。水平バーを動かすか、数値を入力します。入力後、どこか関係のないところをクリックすると、下の棒グラフに反映されます。pHの値も連動して動きます。苦土の棒グラフの値が赤のラインのところか、これを少し超えるところまで施肥をしたら、この圃場における稲を栽培するための苦土の量は十分となります。
【017】まず、圃場の地力を計算します。「通年施肥窒素量」に、稲を1作つくるのに使用している窒素全量を記入します。(①秋藁処理に使用する窒素量の2分の1+②基肥窒素量+③穂肥の窒素量+④実肥の窒素量)次に、「通年収穫量」に、収穫量を入力してください。最後に「目標値」を入力するをクリックすると土の状況のところに「砂状地・やや砂状地・普通・やや粘土・重粘土」の6段階の評価が表示されます。
「収穫量から計算」または「手動」を選択できる。実際の土壌の状況と「収穫量から計算」した「土の状況」が違う場合は「手動」で確かめることができる。
【019】「前回の収穫量」に、収穫量を入力すると、すぐ右の「処理する藁の量」に圃場にある藁の量が表示されます。(藁の量は、収穫量の1.5倍になります。)
【020】肥料BOXより、「有機肥料・発酵鶏糞」BOXを選択する。「発酵鶏糞N4」を選択し、仮に100キロと入力する。
【021】「藁処理の為の肥料使用料」のところに、必要施肥量が105キロと表示されるので、「発酵鶏糞N4」の施肥量を105キロに修正する。
【022】「発酵鶏糞N4」の施肥量を105キロに修正する。
【023】基肥の施肥量を決める。①基肥と抑草用肥料の割合を決めるため、▼プルダウンから選択する。②目標収穫量を入力する。③赤い「目標値を計算する」のボタンをクリックする。
赤いシュミレーション値に、窒素施肥量の目安が表示される。①お米を栽培するために必要な総窒素量が10.25キロと表示されている。②秋藁処理で使用した窒素量の2分の1は春からのお米づくりに効いてくるので、4.3キロの半分の2.15キロが有効となる。③これを総窒素量から引いた値(①-②=③)が基肥の施肥量となる。④田植え後の肥料による抑草を行う場合は、表層に撒く肥料の窒素もお米の生育に効いてくるので、基肥の施用量から抑草用肥料を引く。
【024】「基肥」を選択する。
【025】「有機肥料・発酵鶏糞」を選択する。
「オーガニック853」を選択する。窒素で8.1キロ施肥する必要がある。「オーガニック853」は窒素成分が8%なので、100キロの施用で8キロの窒素が施肥できる。
【026】赤い表のシュミレーション値を使用しない場合。「施肥窒素量をシュミレーションする」にレ点を付けて、緑の表を表示して、シュミレーションを行う。
【027】①必要窒素量を参考に、 ②現施肥窒素量を入力する。 ③「目標値を計算する」の赤いボタンをクリックする。
【028】作業履歴はこのタブから入ることができます。
【029】「新規登録」をクリックする。
【030】作業履歴の管理画面の全体の姿
【031】作業案内の▼プルダウンを開くと、上のように主な作業の一覧が表示される。①これから「作業」を選ぶ。②実施内容を記載する欄と、③その下に写真を添付できるようになっている。
【032】インストラクターにアドバイスをもらいたい場合は、アドバイスの欄の「必要」にチェックを入れる。チェックを入れると、「希望アドバイス内容」という記載欄が出てくる。これに、記載すると、アドバイスが受けれる。
【033】グローイングマップは右上の三本線からか入れる。
2018年8月19日日曜日
有機農業新規参入者支援の方向性
上の図は、一般社団法人全国農業会議所全国新規就農相談センターの平成28年度新規就農者の就農実態に関する調査結果より作成している。全国農業会議所の調査は、2010年、2013年、2016年の新規就農者の動向が比較できる。「就農した理由(3つまで選択)」の調査で一番多いのは、もちろん「農業が好きだから」であった。農業が好きでないと、人生をかけて農業の世界に入ってこないと思われるので、これが1番になるのは、無理なく想像できる。そして2番目が「自ら経営の采配を振るえるから」、そして、その次が「農業はやり方次第でもうかるから」が続く。このことから新規就農者の多くが、農業経営にやりがいを求めて、積極的に参入してくる人が多いことがわかる。この2つの項目は2010年、2013年、2016年とだんだん増えてきている。
就農時の年齢で見てみると、若い世代ほど「自ら経営の采配を振るえるから」、「農業はやり方次第でもうかるから」という理由で就農してきた人が多いことがわかる。そして、その傾向は、年を経るごとに増えてきていることもわかる。
逆に、「有機農業がしたいから」や「食べ物の品質や安全性に興味があったから」という項目は、2010年、2013年、2016年とだんだん減ってきている。
就農時の年齢で見てみると、若い世代ほど、「有機農業がしたいから」や「食べ物の品質や安全性に興味があったから」という理由で、就農する人は少なく、60歳以上で多いことがわかる。「3つまで選択」というアンケート調査なので、「有機農業がしたいから」や「食べ物の品質や安全性に興味があったから」は上位ではなく、「自ら経営の采配を振るえるから」や「農業はやり方次第でもうかるから」という動機よりは低いということがいえる。
新規就農者のうち、有機農業や減農薬栽培に取り組んでいる割合。2割の方が、全圃場で取り組んでいて、5%の方が圃場の一部で取り組んでいる。
新規就農者のうち、6.2%が有機JAS認証を取得している。有機JASの取得は、日本の農業全体の1%にも満たない状態なので、6%というのは非常に多いといえる。有機JAS取得には、転換期間を3年ほど置かなければならいため、就農1年目よりも5年目以降の人の方が有機JAS認証の取得も多い。
新規就農者の経営面での問題と課題。一番は「所得が少ない」で、次は「技術の未熟さ」となっている。この1位と2位は関連が深いかもしれない。技術が未熟なので、品質が悪かったり、計画通りの生産ができてなく、所得の低下につながっているのではないだろうか?
上のグラフは、2010年、2013年、2016年のアンケート調査の合計である。よって合計は300%になる。新規就農者が「今後、5年くらいの農業経営の展開において重要と思われる項目」としては、1番が「技術の向上」であり、2番目が「規模拡大」、3番目が「販路拡大」、4番目が「品質向上」で、これで全体の半分となっている。その次、5番目が「雇用の導入」、6番目が「単位あたりの生産量の拡大」、7番目として「コストの削減」が続く。
技術が未熟で、単位面積あたりの収量が少なく、その結果、収益が少ないのではなか? 単位面積あたりの収量が少ないことを、作付け面積を拡大することで補おうとしているのではないかと考えられる。しかしこれは大きな悪循環であり、まずは負のスパイルからの脱出を図るために、一番の技術力を上げることが、もっとも重要といえる。
農業者に農薬散布についてどう思うかを率直に質問してみると、農薬は生産コストであり、使わないで生産できるなら、その方が良い、その方が利益が増えるという回答が返ってくることが多い。農薬自体の購入費用と、散布のための労力が必要ないのなら、それは経営面には、大きなプラス要素である。
病害虫が発生していて、農薬を散布する必要が生じているのに、痩せ我慢して、無理やり農薬を使わないというのでは、生産がおぼつかない。作物自体の健康状態を向上し、病害虫に強い作物にするか、または、土づくりや圃場管理技術によって病害虫の被害が少な圃場にする必要があると考えられる。
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